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(4)対地衝突回避支援機能
自機位置、対地速度などの機体運動データ、気圧高度及び地形データを用いて、地形に対して衝突の恐れがある場合に警報を発生する機能を持つ。
機首方向(12時方向)を中心として、図3.41−2に示すように1時方向、2時方向、3時方向などあわせて7つの方向のそれぞれについて、現在の速度で飛行して42秒以内に到達する領域を注意エリア、27秒以内に到達する領域を危険エリアとして衝突するおそれのある地形の有無を判定する。この結果によって地形方向表示器の7方位の表示灯を橙色(注意)または赤色(危険)に点灯させる。なお、機首方向に沿って一定幅の領域に衝突するおそれのある地形が含まれる場合には、12時方向の表示灯を点灯させる。
地形方向表示器の点灯と同時に「前方注意」などの警報音声を発生して機内交話系統に出力する。「前方」「左」「右」「注意」「危険」という女性の声をデジタル化して記憶しておき、条件に応じて音声を発生する。
簡潔に注意を促すために、11時方向、12時方向及び1時方向をまとめて「前方」、9時方向および10時方向をまとめて「左」、2時方向及び3時方向をとめて「右」と呼んでいる。複数の警報状態が重なった場合には、優先度の高い音声を出力する。例えば前方と右の注意状態が同時に発生している場合には「前方注意」を出力する。
この対地衝突回避支援機能は、地図の標高データとして記憶されている地形のほか、ユーザが設定した人工障害物データについても働く。鉄塔のような単独の障害物、あるいは送電線のような連続した障害物について、個々の点の位置と高さを指定することにより、ユーザがデータを設定することができる。
3.4.1.5 おわりに
対地衝突回避支援機能付きのGPS/MAP装置はBK117ヘリコプタのオプション装置品として運輸省航空局の形式設計変更の承認を取得しており、平成8年度に納入する機体のほとんどに装備している。本装置によりパイロットのワークロード軽減と運航の安全性向上に寄与するものと期待される。
[参考文献]
(1)山川榮一ほか「GSP/MAPシステムの開発」、第31回飛行機シンポジウム講演集(1993)
(2)矢部龍太郎ほか「ヘリコプタ用対地接近警報機能付きGPS/MAP装置の開発」、第34回 飛行機シンポジウム講演集(1996)

 

 

 

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